皮膚の病気 院長コラム

多汗症について

 

多汗症とは、汗の量が異常に多いために日常生活に支障を来たしている状態のことで、日本人の12%(約120240万人)が多汗症といわれています。

原因は、内分泌(ホルモン)異常や心疾患、神経疾患などの全身疾患に伴うものもありますが、多くは特発性(体質的)、精神性(過緊張など)と言われています。

<診断基準>

1.両側に同じくらい汗をかく

2.週に1回は汗で困ることがある(書類を持ったらインクがにじんだ、握手をためらったなど)

3.日常生活・社会生活に支障をきたしている(服の汗じみが気になり好きな服が着られない、制汗剤が手放せないなど)

4.25歳より前に始まった

5.家族に多汗症がいる

6.寝ている間や精神的に落ち着いているときは汗をかかない 

上の6項目うち少なくとも2項目あてはまり、異常なほど汗をかく期間が6ヶ月以上であれば多汗症と診断されます


<治療について>

基本的に治療中の汗を減らすことが目的(体質を治すものではありません)

従って、気に入った場合は継続していく治療にはなります

そういう意味では、なかなか患者さんの思い描く治療とは異なっている現状ではありますが、

ここ数年で外用薬が複数使用できるようになっており、現在注目されている分野にはなります

<外用療法>

〇 保険適応 (抗コリン薬) 13歳以上が適応

・脇 エクロックゲル、ラピフォート (費用 月に30004000円)

 どちらも似た薬であり、効果にはあまり差がないと思います。11回 夜に脇に塗布

 エクロックゲルは容器で塗布

ラピフォートはディスポのお手拭きのようなもので、1回ごとに使い捨て 

・手のひら アポハイドローション (費用 月に30004000円)

 スプレータイプ 11回 夜に手のひらに塗布

    今のところ、足の裏や首、頭など他の部位に使用できるものはありません

〇 保険外 当院の場合は、おとなりの薬局に依頼して作成、容器代のみで対応可能

・塩化アルミニウム 年齢制限なし 11回 脇・手足の裏に塗布

    外用療法の薬は、すべて基本的には翌朝に手などは洗ったり、脇などは濡れタオル

などで拭いて頂く必要があります

<内服療法>

〇 プロバンサイン(抗コリン薬) 15歳以上が適応

 113回毎食後に内服は可能(朝・昼に飲む方が多い)

 全身の汗の量を減らす効果が期待は出来ます

 効果が出る人程、喉の渇き、便秘などの症状は出やすい(薬の効果と表皮一体のため)

〇 漢方薬(防已黄耆湯、黄耆建中湯など) 15歳以上が適応

    内服薬の効果は個人差が大きく、実際は飲んでみないと分からないことが多いです

抗コリン薬は数日で効果は分かることが多く、

漢方薬は1か月程度と少し長めに飲んでから評価して頂きます

<その他の保険適応の治療>

 ・交感神経遮断術 年齢制限はないですが、基本的には小児で行わないと思います

手のひらの汗にはある程度有効、その他の部位の発汗が代償性に増えることがあります

 ・ボツリヌス注射 15歳以上が適応 (当院では行えません)

  脇汗に使用、脇に皮下注射を行う。効果は23ヶ月程度

  保険適応だが、薬が高いため1回に15千円以上かかる

 ・イオントフォレーシス 年齢制限なし (当院では行えません)

  微量の電気を流す方法、痛みはなく手足の多汗が適応

  1700円程度、通院が必要で週に12

  ある程度効果は期待できるようですが、行っている施設が少ないです

※自宅で出来る商品が発売されている(サーリオ)

水いぼ(伝染性軟属腫)について

伝染性軟属腫は主に、乳幼児期~小児期に皮膚に伝染性軟属腫ウイルスが感染して生じる疾患です。俗に水いぼと呼ばれますが、水を介して感染する訳ではなく、接触による感染でうつる疾患です。基本的には、痛みもかゆみもないことが多いですが、時にはかゆみが生じたり、湿疹と混在してできてしまうこともあります。残念ながら場所は問わないので、顔から陰部など皮膚があればどこでも生じるものです。

年齢ともにどこかでウイルスに対する免疫を獲得するため、どれだけ増えてしまっていても自然に治癒するものではあります。しかし治癒する期間が数ヶ月後か数年後かは不明であり、状況によってはプールに入れない、見た目が嫌、痒みでかいてしまうなどで困られているケースもあります。

ウイルスに対する直接的な治療方法がないため、自然に治癒する時期を待つ方法以外では、麻酔のテープを貼って痛みを軽減してから、摘除(物理的に皮膚ごとちぎって除去する)方法が行われてきました。この治療法は、まずは痛みや恐怖をある程度伴う治療であること、また今ある水いぼを取っても、免疫ができていない間はまた出てしまうため、極端に言えば免疫ができるまでは取り続ける必要があることも問題でした。最近では医師によって考え方はあれど、自然治癒を待つ傾向が増えていると思います。


この度、一部の困っておられる患者さんに、診察後に説明の上保険適応外にはなりますが、水いぼを消退させてくれるかもしれない外用薬を販売することに致しました。

そのクリームの内容は銀イオン配合のクリームです。銀イオンについては、一定の殺菌・抗ウイルス作用を有していることは紛れもない事実です。ただ自然治癒が突然訪れる疾患ではありますので、薬剤の効果について正確に評価しにくい部分もあります。

ただ開発して頂いた会社で行われた試験において3ヶ月以内に8割程度の方の消失が確認されております。通常の自然経過で、3ヶ月以内で8割の方が治癒すること考えにくく、効果が一定以上あると考えられます。

銀は金属ですので、時にはアレルギー性の皮膚炎を生じてしまう可能性はあると思いますが、極端にリスクの高い薬ではないと考え、当院で採用させて頂くことに致しました。

当院でも、外用後1~2ヶ月で消退に至った患者さんも経験しております。

すべての伝染性軟属腫患者さんに使って頂こうと考えているものではありませんが、ご相談の上ご希望の方には販売をさせて頂こうと思っております。


商品名 : M-BF Cream 15gチューブ1本 2,200円(税込み)


の指、手のひら・足の裏のできもの、もしかしてイボ?

 

皮膚科でいうイボは、正式には疣贅(ゆうぜい)といいますが、原因はヒト乳頭腫ウイルスが皮膚の細胞に感染を起こして生じるものです。

大人の方にもなるものではあるのですが、お子さんに多い病気にはなります。

イボのタイプによっては、魚の目にそっくりなのですが、魚の目は外からの刺激が長く続かないと出来てこないので、極端にスポーツなどで足を酷使していない限り、お子さんにはほとんど出来ない疾患です。

実はウイルスの存在は自然界でははっきりとしていませんが、誰かからの接触による感染もあるのですが、お子さんの手足に多いこともあり、自然界にもウイルスは存在していると考えられています。

原因ははっきりわかっているのですが、残念ながら現時点ではウイルスを塗り薬や飲み薬で退治する治療法がありません。

そこで多くのクリニックで行われているのは、ウイルスが感染を起こした皮膚ごとやっつける治療になります。最も行われているのは、液体窒素といってマイナス200℃程度の低温で凍結させる方法です。ただ、低温で皮膚を傷めつけるので、治療中と治療後数日間は冷たいではなく痛いというのが大きな問題点です。また、他の治療法にも言えることではありますが、1回で治ることはまずないため、複数回その痛みを我慢して治療を続けて頂かないといけません。下の図のように、ウイルスが再び増殖してくる前に次の治療を繰り返し行い、最終的に治癒に導くことが目標となります。

当院では、小さなお子さんが液体窒素治療を継続することが難しいことも多いため、モノクロロ酢酸という酸を使用した治療も提案させて頂いております。酸の治療は強い酸により皮膚を腐食(痛めつける)させていく方法ですので、液体窒素ほどの治療中の痛みはないものの、多少は帰宅後に痛みやひりひり感は感じるケースはあります。肝心の治療効果については、液体窒素に比べてやや弱い印象はありますが、全く無効なケースは少ないと思っております。

イボを起こすほかの代表的なウイルスとしては、伝染性軟属腫ウイルス(水いぼの原因)がありますが、そちらと違い自然に消えてくれることが少ないため、怖い病気ではありませんが、根気よく治して頂くことをお勧めします。 

1回の治療(☆)で、ウイルスの量はある程度減りますが、日にちとともに増殖して戻ってしまいます。

戻りきる前に次回の治療を行っていくことが必要です。


●爪水虫(爪白癬)の治療、効果、費用は?

 

水虫といいますが、実際の原因はカビ(真菌)です。爪は死んだ細胞の集合体なので、爪にまで入り込んでしまったカビを退治するのは、正直なかなか大変なのですが、治療には大きく、飲み薬と塗り薬があります。

一般的に飲み薬は7~8割程度の方が治り、塗り薬は2割前後の方が治ると言われています。ただ爪水虫の程度、なってからの年月(罹病期間)や基礎疾患によっても随分と異なりますので、一概には言えません。

爪の成長は遅く、効いた人でもゆっくり改善していくので、治療期間は飲み薬でも塗り薬でも半年以上かかることも多いです。


下の図のように、ゆっくり爪の付け根から正常になっていきます。 

飲み薬は現在3種類ありますが、いずれも時に(5%前後)副作用(肝臓にこたえたり、白血球の数の異常)が出てしまうことがあります。内服後13ヶ月の間は必要に応じて血液検査を行い、異常を早くみつけて薬を中止すれば、通常は肝機能障害も元に戻ります。

爪水虫は、徐々に爪が白色や褐色調に濁り、分厚く、もろくなっていきますが、自覚症状はありません。巻き爪の原因になったりすると、周りの皮膚の痛みが出ることはあります。

放置すると、自分の皮膚に菌をうつす原因になり、他の人に菌をうつしてしまうことにもつながるため、なんらかの治療が望ましいですが、全身に影響が出ることはまずありません。

こちらを読んで頂いている方は、しっかり治したい方が多いのかもしれませんが、

    治療の目標を自分なりに決めて、それに合わせた治療を行いましょう!

 

というのがわたしの個人的な治療方針です。

 

<治療方法は積極的な順に>

① 飲み薬の治療  : ぜひ治したい!

メリット  最も効果が高い。(78割の人が治る)

 デメリット 副作用が時にあること、チェックのための採血が必要

       治療費用が高い(3割負担の患者さんで、月に3,00010,000円程度)

② 爪水虫用の塗り薬治療  : 出来れば治したいけど、飲み薬はちょっと…

 メリット  全身的な副作用はない。

 デメリット 効果が内服には劣る(2割前後の人が治る)

       少し治療費用が高い(3割負担の患者さんで、月に1,0003,000円程度)

 ※工夫 11回 風呂上りの爪が柔らかい時に塗る、少し表面にやすりをかける など

③ 皮膚の水虫用の塗り薬治療  : とくに困ってないし、悪くならなければいいかな

 メリット  全身的な副作用はない。

       治療費用が安い(3割負担の患者さんで、200600円程度)

 デメリット 治ることはほぼない、状態の悪化と排菌を防ぐことが目的

 ※ただ、排菌予防については、きちんとしたエビデンスはないようです。



●酒さってなあに?

 

「酒さ(しゅさ)」とは、中高年の方の顔、特に鼻や口の周囲に赤いぶつぶつや全体の赤みが生じ、慢性的に顏の赤み(紅斑・毛細血管拡張)やニキビ様のぶつぶつを伴う皮膚病です。


原因がはっきりしておらず、さまざまなこと(紫外線、ストレス、疲労、ストレス、ニキビダニなど)が悪化因子になることも多く、素因(体質)の関与もあると言われており、治療法が確定しておらず難治性です。


さらには諸外国では有用性が確立しているにもかかわらず、日本では使用できない薬も多く、今現在とくに日本では治療に難渋しているのが現状です。


なかなか治りにくい疾患であるがゆえ、患者さんも民間療法や化粧品なども工夫される中で、接触皮膚炎(かぶれ)を生じていたりすることもあり、本当に酒さなのか診断をしっかり行うことも重要です。


当院では、必要に応じて皮膚生検を行い診断を確定するとともに、第一選択としてはテトラサイクリン系抗生剤内服とメトロニダゾール軟膏を使用しています。


メトロニダゾール軟膏の酒さへの有効性は、1983年にすでに海外では報告されており、現在FDA(米国の厚労省にあたる機関)においては、酒さの治療薬の第一選択薬となっています。


メトロニダゾールには嫌気性菌や原虫、ニキビダニを減らす効果があります。


酒さのすべてがニキビダニが原因ではありませんが、抗菌作用以外にも、抗炎症作用、免疫抑制作用、活性酸素減少作用など他の作用も重なって、酒さに有効であるといわれています。


効果が表れるまでの期間は平均1ヵ月以上かかるようなのんびりした薬ではあり、飲み薬の抗生剤の併用効果が高いですが、メトロニダゾール軟膏を併用することで、4割程度の方が抗生剤の使用量を減らせたり、中止できたとの報告が国内でもあります。


正直、一筋縄ではいかない疾患ではありますが、上記のような治療により改善し、治癒に至る患者さんもおられますので、諦めてしまう疾患ではありません。

 


●  帯状疱疹とその予防ワクチンについて


 帯状疱疹(たいじょうほうしん)という病気は聞いたことがある方も多いと思います。よくヘルペスと呼ばれているものですが、口周囲などに疲れや風邪のたびに繰り返して出てしまう単純ヘルペスとは、原因は異なっています。


水痘(みずぼうそう)のウイルスが原因で発症するもので、水痘になったことがある方でないと発症しません。


水痘の原因ウイルスは一度体に入ると一生いなくなることはなく、神経節に眠っています(潜伏感染)。ストレスや疲労、手術や病気などで免疫が低下すると再び活動を始め、神経や皮膚を傷害していき、帯状疱疹を起こすことが分かっています。


帯状疱疹は神経に沿うように痛みと水疱や紅斑を生じてくる病気であり、体の左右どちらかにだけ出ることが特徴です。顔や頭から手足の先までどこにでも出る病気ですが、基本的にはある程度の範囲に限って生じます。


水痘をしていれば、お子さんでも生じうる病気ですが、高齢者の方の方が発症率は高くなります。


帯状疱疹の問題は、皮膚症状よりは神経症状であり、時に激しい痛みで夜も眠れないほどになり、皮膚症状が落ち着いたあとも長期的に神経痛に悩まされることもあります。


顔面に症状が出た場合は、眼や耳の神経が障害されたりする場合もあり、注意が必要です。


帯状疱疹は通常は一生に一度しかなりませんが、時にはつらい痛みの後遺症を残してしまうことがある病気です。


2016年3月より帯状疱疹の発症予防のワクチンが接種できるようになりました

下記にワクチンのポイントをお示しします。

① ワクチン接種により発症予防もしくは発症時の症状軽減が図れます。

② ワクチンの成分としては水痘(みずぼうそう)ワクチンと一緒です。

 帯状疱疹の予防効果期間は、実は正確には分かっておらず、接種後3~10年程度とされています。

④ 大きな副作用の報告はありません。

⑤ 自費診療であり、当院では9,000円(税込み)とさせて頂いています。(2019年12月現在)

☆なお、水痘ワクチンは2014年10月より1~3歳の子供は定期接種(費用負担なし)に変更になっています。


※ご希望の方は事前にご予約をお願しております。電話でご連絡の上、来院時に問診票に記入して頂き施行致します。



 

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