皮膚の病気 院長コラム

の指、手のひら・足の裏のできもの、もしかしてイボ?

 

皮膚科でいうイボは、正式には疣贅(ゆうぜい)といいますが、原因はヒト乳頭腫ウイルスが皮膚の細胞に感染を起こして生じるものです。

大人の方にもなるものではあるのですが、お子さんに多い病気にはなります。

イボのタイプによっては、魚の目にそっくりなのですが、魚の目は外からの刺激が長く続かないと出来てこないので、極端にスポーツなどで足を酷使していない限り、お子さんにはほとんど出来ない疾患です。

お子さんに多い理由としては、素足であそんだりする機会も大人より一般的に多く、自然界に存在するウイルスに接する機会が多いからとも考えられています。

原因ははっきりわかっているのですが、残念ながら現時点ではウイルスを塗り薬や飲み薬で退治する治療法がありません。

そこで多くのクリニックで行われているのは、ウイルスが感染を起こした皮膚ごとやっつける治療になります。最も行われているのは、液体窒素といってマイナス200℃程度の低温で凍結させる方法です。ただ、低温で皮膚を傷めつけるので、治療中と治療後数日間は冷たいではなく痛いというのが大きな問題点です。また、他の治療法にも言えることではありますが、1回で治ることはまずないため、複数回その痛みを我慢して治療を続けて頂かないといけません。下の図のように、ウイルスが再び増殖してくる前に次の治療を繰り返し行い、最終的に治癒に導くことが目標となります。

当院では、小さなお子さんが液体窒素治療を継続することが難しいことも多いため、モノクロロ酢酸という酸を使用した治療も提案させて頂いております。酸の治療は強い酸により皮膚を腐食(痛めつける)させていく方法ですので、液体窒素ほどの治療中の痛みはないものの、多少は帰宅後に痛みやひりひり感は感じるケースはあります。肝心の治療効果については、液体窒素に比べて極端に違いはありません。

イボを起こすほかの代表的なウイルスとしては、伝染性軟属腫ウイルス(水いぼの原因)がありますが、そちらと違い自然に消えてくれることが少ないため、怖い病気ではありませんが、根気よく治して頂くことをお勧めします。 

1回の治療(☆)で、ウイルスの量はある程度減りますが、日にちとともに増殖して戻ってしまいます。

戻りきる前に次回の治療を行っていくことが必要です。


●爪水虫(爪白癬)の治療、効果、費用は?

 

水虫といいますが、実際の原因はカビ(真菌)です。爪は死んだ細胞の集合体なので、爪にまで入り込んでしまったカビを退治するのは、正直なかなか大変なのですが、治療には大きく、飲み薬と塗り薬があります。

一般的に飲み薬は7~8割程度の方が治り、塗り薬は2割前後の方が治ると言われています。ただ爪水虫の程度、なってからの年月(罹病期間)や基礎疾患によっても随分と異なりますので、一概には言えません。

爪の成長は遅く、効いた人でもゆっくり改善していくので、治療期間は飲み薬でも塗り薬でも半年以上かかることも多いです。


下の図のように、ゆっくり爪の付け根から正常になっていきます。 

飲み薬は現在3種類ありますが、いずれも時に(5%前後)副作用(肝臓にこたえたり、白血球の数の異常)が出てしまうことがあります。内服後13ヶ月の間は必要に応じて血液検査を行い、異常を早くみつけて薬を中止すれば、通常は肝機能障害も元に戻ります。

爪水虫は、徐々に爪が白色や褐色調に濁り、分厚く、もろくなっていきますが、自覚症状はありません。巻き爪の原因になったりすると、周りの皮膚の痛みが出ることはあります。

放置すると、自分の皮膚に菌をうつす原因になり、他の人に菌をうつしてしまうことにもつながるため、なんらかの治療が望ましいですが、全身に影響が出ることはまずありません。

こちらを読んで頂いている方は、しっかり治したい方が多いのかもしれませんが、

    治療の目標を自分なりに決めて、それに合わせた治療を行いましょう!

 

というのがわたしの個人的な治療方針です。

 

<治療方法は積極的な順に>

① 飲み薬の治療  : ぜひ治したい!

メリット  最も効果が高い。(78割の人が治る)

 デメリット 副作用が時にあること、チェックのための採血が必要

       治療費用が高い(3割負担の患者さんで、月に3,00010,000円程度)

② 爪水虫用の塗り薬治療  : 出来れば治したいけど、飲み薬はちょっと…

 メリット  全身的な副作用はない。

 デメリット 効果が内服には劣る(2割前後の人が治る)

       少し治療費用が高い(3割負担の患者さんで、月に1,0003,000円程度)

 ※工夫 11回 風呂上りの爪が柔らかい時に塗る、少し表面にやすりをかける など

③ 皮膚の水虫用の塗り薬治療  : とくに困ってないし、悪くならなければいいかな

 メリット  全身的な副作用はない。

       治療費用が安い(3割負担の患者さんで、200600円程度)

 デメリット 治ることはほぼない、状態の悪化と排菌を防ぐことが目的

 ※ただ、排菌予防については、きちんとしたエビデンスはないようです。



●酒さってなあに?

 

「酒さ(しゅさ)」とは、中高年の方の顔、特に鼻や口の周囲に赤いぶつぶつや全体の赤みが生じ、慢性的に顏の赤み(紅斑・毛細血管拡張)やニキビ様のぶつぶつを伴う皮膚病です。


原因がはっきりしておらず、さまざまなこと(紫外線、ストレス、疲労、ストレス、ニキビダニなど)が悪化因子になることも多く、素因(体質)の関与もあると言われており、治療法が確定しておらず難治性です。


さらには諸外国では有用性が確立しているにもかかわらず、日本では使用できない薬も多く、今現在とくに日本では治療に難渋しているのが現状です。


なかなか治りにくい疾患であるがゆえ、患者さんも民間療法や化粧品なども工夫される中で、接触皮膚炎(かぶれ)を生じていたりすることもあり、本当に酒さなのか診断をしっかり行うことも重要です。


当院では、必要に応じて皮膚生検を行い診断を確定するとともに、第一選択としてはテトラサイクリン系抗生剤内服とメトロニダゾール軟膏を使用しています。


メトロニダゾール軟膏の酒さへの有効性は、1983年にすでに海外では報告されており、現在FDA(米国の厚労省にあたる機関)においては、酒さの治療薬の第一選択薬となっています。


メトロニダゾールには嫌気性菌や原虫、ニキビダニを減らす効果があります。


酒さのすべてがニキビダニが原因ではありませんが、抗菌作用以外にも、抗炎症作用、免疫抑制作用、活性酸素減少作用など他の作用も重なって、酒さに有効であるといわれています。


効果が表れるまでの期間は平均1ヵ月以上かかるようなのんびりした薬ではあり、飲み薬の抗生剤の併用効果が高いですが、メトロニダゾール軟膏を併用することで、4割程度の方が抗生剤の使用量を減らせたり、中止できたとの報告が国内でもあります。


正直、一筋縄ではいかない疾患ではありますが、上記のような治療により改善し、治癒に至る患者さんもおられますので、諦めてしまう疾患ではありません。

 


●  帯状疱疹とその予防ワクチンについて


 帯状疱疹(たいじょうほうしん)という病気は聞いたことがある方も多いと思います。よくヘルペスと呼ばれているものですが、口周囲などに疲れや風邪のたびに繰り返して出てしまう単純ヘルペスとは、原因は異なっています。


水痘(みずぼうそう)のウイルスが原因で発症するもので、水痘になったことがある方でないと発症しません。


水痘の原因ウイルスは一度体に入ると一生いなくなることはなく、神経節に眠っています(潜伏感染)。ストレスや疲労、手術や病気などで免疫が低下すると再び活動を始め、神経や皮膚を傷害していき、帯状疱疹を起こすことが分かっています。


帯状疱疹は神経に沿うように痛みと水疱や紅斑を生じてくる病気であり、体の左右どちらかにだけ出ることが特徴です。顔や頭から手足の先までどこにでも出る病気ですが、基本的にはある程度の範囲に限って生じます。


水痘をしていれば、お子さんでも生じうる病気ですが、高齢者の方の方が発症率は高くなります。


帯状疱疹の問題は、皮膚症状よりは神経症状であり、時に激しい痛みで夜も眠れないほどになり、皮膚症状が落ち着いたあとも長期的に神経痛に悩まされることもあります。


顔面に症状が出た場合は、眼や耳の神経が障害されたりする場合もあり、注意が必要です。


帯状疱疹は通常は一生に一度しかなりませんが、時にはつらい痛みの後遺症を残してしまうことがある病気です。


2016年3月より帯状疱疹の発症予防のワクチンが接種できるようになりました

下記にワクチンのポイントをお示しします。

① ワクチン接種により発症予防もしくは発症時の症状軽減が図れます。

② ワクチンの成分としては水痘(みずぼうそう)ワクチンと一緒です。

 帯状疱疹の予防効果期間は、実は正確には分かっておらず、接種後3~10年程度とされています。

④ 大きな副作用の報告はありません。

⑤ 自費診療であり、当院では9,000円(税込み)とさせて頂いています。(2019年12月現在)

☆なお、水痘ワクチンは2014年10月より1~3歳の子供は定期接種(費用負担なし)に変更になっています。


※ご希望の方は事前にご予約をお願しております。電話でご連絡の上、来院時に問診票に記入して頂き施行致します。



 

多汗症について

 

多汗症とは、汗の量が異常に多いために日常生活に支障を来たしている状態のことで、日本人の12%(約120240万人)が多汗症といわれています。

原因は、内分泌(ホルモン)異常や心疾患、神経疾患などの全身疾患に伴うものもありますが、多くは特発性(体質的)、精神性(過緊張など)と言われています。

<診断基準>

1.両側に同じくらい汗をかく

2.週に1回は汗で困ることがある(書類を持ったらインクがにじんだ、握手をためらったなど)

3.日常生活・社会生活に支障をきたしている(服の汗じみが気になり好きな服が着られない、制汗剤が手放せないなど)

4.25歳より前に始まった

5.家族に多汗症がいる

6.寝ている間や精神的に落ち着いているときは汗をかかない 

上の6項目うち少なくとも2項目あてはまり、異常なほど汗をかく期間が6ヶ月以上であれば多汗症と診断されます。


治療としては、残念ながら対症的な治療が主体となっており、塩化アルミニウム外用療法、イオントフォレーシス治療、内服治療(抗コリン薬、漢方薬)、手術治療(交感神経遮断術)などがあります。

当院では、塩化アルミニウム外用療法と内服治療を行わせて頂いております。

〇塩化アルミニウム溶液 保険外治療

市販薬も含め古くから多汗症治療のひとつとして、使用されてきました。作用機序としては、汗のでる穴を変性させてふたをすると言われていましたが、最近ではアルミニウムイオンが汗腺の細胞膜レベルで作用し発汗を抑制するからではないかと考えられています。保険薬ではありませんが、当院では現在20%塩化アルミニウム溶液を、調剤薬局さんのご協力を得て、容器代金のみでご提供をさせて頂いています。

使用方法としては、塗った後に汗をかいたり、流してしまうと効果が期待できませんので、一番お勧めは、入浴後や寝る前となります。

効果は1週間ぐらい続けると出てくる方が多いですが、23週間かかる方もおられます。刺激感などトラブルがなければ、まずは根気よく使用してみてください。

〇内服治療(抗コリン薬、漢方薬) 保険治療

抗コリン薬、漢方薬ともに内服中の汗を減らしてコントロールするような治療薬であり、残念ながら根本的に治す治療ではないと考えられています。生活スタイルに合わせて内服するようなケースが多いです。(夏季の間は内服、大事な用事があるときに内服するなど)

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